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取扱業務
過払い金の詳細について
- 過払金とは何か
過払金とは、文字通り払いすぎたお金のことです。
近時は、過払金という言葉は広く知られるようになっていますが、ここでは、なぜ過払金を取り戻すことができるかにつき解説します。 - 過払金が生じる原因となった「グレーゾーン金利」
(1)利息制限法の規定
利息制限法は、利息の上限を、
(2)出資法5条とみなし弁済規定
①10万円未満の貸付の場合には年利20%
②100万円未満の貸付の場合には年利18%
③100万円以上の貸付の場合には年利15%
と定めており、上記を超える利息は、民事的には無効となります。(利息制限法1条1項)。
すなわち、法律上は、上記以上の利息をとることは認められていません。
それにもかかわらず、貸金業者は、利息制限法の上限を超える金利での貸付けを行ってきました。
民事上無効であるにもかかわらず、なぜ、このようなことが行われてきたのか、それは、以下に述べるとおり、出資法の規定及びみなし弁済規定が大きく関係しています。
ア.出資法5条
出資法5条は、利息の上限を超えた貸付けに刑事罰を課しており(5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併科)、その上限利率は年利29.2%です。
イ.みなし弁済規定
しかしながら、お分かりのとおり、刑事罰の対象となる上限利率(29.2%)は、利息制限法が定める上限利率(15%~20%)より高く、10%近くもの開きがありました。
すなわち、貸金業者としては、利息制限法を超えた利息は無効ではあるものの、出資法に規定された利率さえ守っていれば、刑事罰が科せられることはない状況にありました。
貸金業法(旧、貸金業の規制等に関する法律)は、みなし弁済に関する規定を設けています。
(3)以上のとおり、貸金業者としては、①利息制限法に違反する利率であっても、29.2%の範囲内であれば、刑事罰は課せられず、かつ、②みなし弁済の規定が適用されると主張をすることで、有効な弁済であると主張する根拠もあります。
みなし弁済規定とは、利息制限法の上限利息を上回る貸付であっても、貸金業者が、ある一定の条件を満たして貸し付けを行っている場合には、債務者が任意に支払った利息の弁済は、有効な弁済とみなす規定です。
よって、業者側は、このみなし弁済規定を、利息制限法を超える利息をとるための根拠として主張していました。
そこで、利息制限法の利息(15%~20%)と出資法の利息(29.2%)との間は、「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。
そして、実際、多くの貸金業者は、25~28%前後での利率による営業を公然と行ってきたのです。
- 認められなくなったグレーゾーン金利
平成16年~平成18年にかけて、最高裁判決は、「みなし弁済」規定を厳格に解釈し、事実上、貸金業者にみなし弁済規定を認めない判決を相次いで下しました。
これは、業者による悪質な取立て行為が社会問題となったことに起因しているといえるでしょう。
さらに、平成19年にはみなし弁済規定も廃止され、利息制限法違反の利息をとることは禁止されています。また、出資法も改正され、罰則の対象となる上限利率も、利息制限法上の最大利率と同じである20%に引き下げられます。
- 利息制限法を超える弁済は、元本に充当(過払金の発生)
最高裁が、みなし弁済規定の適用を認めず、利息制限法を超える利息の支払は無効と判断される結果、払いすぎた利息は、元本に充当されます。
これが、いわゆる過払金です。
過払金が発生する結果、貸金業者と長い期間取引をしている債務者は、元本が大きく減り、さらに、元本以上の利息を払っている場合には、払いすぎた利息を返還するよう請求することが可能になるのです。