取扱業務
大きく変わった貸金業法(平成22年6月18日完全施行)について
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借金返済に苦しむ多重債務者対策として、平成18年12月に改正貸金業法が成立し、段階的に施行されてきましたが、本年6月18日に完全に施行され、一連の改正が完了し、法改正の重要部分である①総量規制の導入、②出資法上限金利の引下げ、などが実施されました。
- 総量規制の導入について
貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えている方については、新規の貸付は原則禁止されます(但し、すぐに年収の3分の1までの返済を求めるものではありません。)。収入のない専業主婦(主夫)は、新規借入の際は配偶者の同意が必要となります。
ここでいう貸金業者とは、消費者金融、クレジットカード会社を指し、銀行のカードローンなど、貸金業者以外からの借入は対象外ですし、クレジットカードによる商品購入も対象外です。また、住宅ローンや自動車ローンも対象外とされております。なお、個人事業者は、事業・支出・資金計画の提出により、総量規制の基準を超える借入が可能です。
- 上限金利の引下げ
今までの出資法の上限金利(年29.2%)を引き下げ、利息制限法の上限金利(年15%から20%)に引き下げられました。また、利息制限法の上限金利を超える部分は無効とされ、いわゆるグレーゾーンは完全に撤廃されました。
改正貸金業法に関するQ&A(金融庁・消費者庁作成のパンフレットから)
- Q1
- これまできちんと返済してきたのに、どうして急に借りられなくなったのでしょうか?
- A1
- 借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐため、法律(貸金業法)が変わりました。
このため、「年収の3分の1」を超える新規の借入はできなくなります。また、借入の金額によっては、年収を証明する書類がないと、借りられなくなることがあります。
- Q2
- 「年収を証明する書類」って何ですか?
- A2
- 1年間の収入がわかるような書類です。例えば、「源泉徴収票」、「確定申告書」、「給与明細」などです。
- Q3
- 誰もが「年収を証明する書類」を提出しなければならないのですか?
- A3
- ①ある貸金業者から50万円を超えて借りる場合
②他の貸金業者から借りている分も合わせて、合計100万円を超えて借りる場合
のどちらかに当てはまれば、提出が必要です。
- Q4
- 専業主婦(主夫)の場合は、どうすればよいですか。
- A4
- 配偶者の同意を得て借入をすることができる場合があります。その際は、配偶者の年収を証明する書類、借入についての配偶者の同意書などが必要です。
- Q5
- 「年収の3分の1」を超える借入があると、超えている分をすぐに返さないといけないのですか?
- A5
- いいえ、契約のとおり返済すれば問題ありません。ただし、「年収の3分の1」を超える新規の借入はできません。
- Q6
- 1社からの借入が「年収の3分の1」以内であればよいのですか?
- A6
- いいえ。数社から借りている場合は、その借入の合計が「年収の3分の1」以内であることが必要です。
- Q7
- 銀行からの借入も合わせると「年収の3分の1」を超えてしまいます。
- A7
- 銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫など、貸金業者以外からの借入は、含みません。
貸金業者からの借入の合計が「年収の3分の1」以内かどうかで判断されます。
- Q8
- クレジットカードで買い物をした分も合わせて「年収の3分の1」以内でないといけないのですか?
- A8
- クレジットカードで買い物をした分は、含みません。
ただし、クレジットカードで現金を借りた分(キャッシング)は、貸金業者からの借入に当たりますので、それも合わせて「年収の3分の1」以内である必要があります。
佐々木泉顕弁護士のコラム「改正貸金業法の完全施行とヤミ金融」はこちら
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