取扱業務
事業の継続という観点からの企業の倒産処理について
佐々木総合法律事務所では、札幌はじめ北海道全域の様々な企業様からの倒産・事業再生のご相談をうけて参りました(なお、当事務所は、特定の銀行と顧問契約締結等による利害関係は全くありません。)。
- 経営に行き詰まった企業から以後の方針について相談を受けた場合、どのような手続を選択するかが問題となります。
企業の倒産処理は、企業という法人を存続させるかどうかという法的側面からみると、清算型と再建型に分かれ、さらにそれぞれ裁判所が強制的な権力行使によって関与する法的倒産手続と裁判外手続きに分類されます。清算型の法的倒産手続の代表選手は破産であり、再建型の法的倒産手続の代表選手は民事再生といえます。
しかし法的倒産手続は、たとえば建設会社の破産の場合には、途中の工事がすべて一旦中断してしまい、注文者や下請け業者に多大な損害を及ぼすなどの弊害がありますし、民事再生も再生計画認可までに時間がかかり過ぎて資産の劣化が生じてしまうことや、債権者から免除を得られた後の債務免除益課税への対応などの問題点があります。
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- 企業という「法人」を存続させるのではなく「事業」を存続させるという観点から見た場合、上述の清算型、再建型の分類はあまり意味をなしません
民事再生でも、事業を別会社に譲渡して当該会社自体は清算する場合や、破産を選択したが、優良な事業部門を事業譲渡し、当該会社自体は消滅したが、事業は再建される事例もあります。
従いまして、手続選択に際しては、依頼者が事業を継続することを希望しているかどうか、事業継続のために法人を存続させる必要があるかどうかという観点から検討する必要があります。 - 私どもの事務所は、依頼を受けた会社の雇用継続や周辺関係者の利害が出来る限り一致することを最優先にしながら、事業再生のために裁判外の手続を利用することも視野に入れて手続を選択し、札幌のみならず北海道全域の企業の倒産処理・事業再生のための処理を行っております。
平成24年も、裁判外手続きでは、中小企業再生支援協議会の支援をいただいて北海道内の大手ホテル会社の代理人として私的再生手続きを担当して成功しました。法的手続きである民事再生の分野においては、破綻企業が置かれた状況に応じて、自主再建型(収益弁済型)、M&A型(事業譲渡・会社分割等)などの各手法を選択し、実践していく必要がありますが、当事務所ではいずれの手法においても高い専門性と経験・ノウハウを生かした再生処理を行って、以下の事例のとおり道内企業の再生を成功させております。
北海道内の中小企業は、ここ数年の急激な円高による為替デリバティブなどの損失、東電福島原発事故による風評被害等によって消耗し続けており、加えて、中小企業金融円滑化法が平成25年3月31日で終了することに伴い、金融支援の後ろ盾を失うことになりますので、当事務所は北海道内の中小企業の経営改善、事業再生のために全力を尽くす所存です。
国は中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度を創設しました。この制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を、国が経営革新等支援機関として認定することにより、経営分析や事業計画策定に係る中小企業による支援機関に対する相談プロセスの円滑化を図り、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。
当事務所は、平成25年4月26日付で、経済産業省北海道経済産業局及び財務省北海道財務局から、中小企業経営力強化支援法(中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律 平成24年8月30日施行)に基づき、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関に認定されました。
≪自主再建型の民事再生事例≫
【会社の概要】 業種: 土木業(港湾・海洋土木事業) 資本金: 1000万円 売上高: 23億円 負債総額: 16億9000万円 【経緯等】 公共事業の減少や大手取引先の倒産に伴い、資金繰りが悪化。その結果、当面の決済資金を確保するために採算性のない工事を受注し、赤字が膨らんでいた。
もっとも、大型海洋作業船を用いた大規模港湾事業に関する技術力に関しては、業界内で高い評価を得ており、法的手続を選択したとしても、一定の工事受注が見込まれた。また、東日本大震災の復興に伴う需要見込みもあった。そこで、事業規模の縮小を図ることを前提に、民事再生手続きを選択した。【再生スキーム】 再生スキームとしては、売上の中から再生債権の弁済原資を確保する収益弁済型となった。
なお、開始決定後、当面の資金繰りを確保するために、取引先からDIPファイナンスとして融資を受けた。
担保不動産については、分割返済による別除権協定を締結した。
滞納公租公課についても関係官庁と間で分割支払いについて合意した。【再生計画】 再生債権について94.86%のカットを受け、残額を10年間で分割弁済するとの再生計画案を提出した。
また、再生計画案では、経営体制の刷新、事業規模の縮小・人員削減(リストラ)による事業の適正化も明記した。【結果】 再生計画認可決定(確定済み)
≪スポンサー型(会社分割型)の民事再生事例≫【会社の概要】 業種: 水産加工業 資本金: 5000万円 売上高: 18億円 負債総額: 10億5000万円 【経緯等】 水産物の相場の下落に伴う赤字計上や、商品の包装に瑕疵が見つかったことによる大量の在庫抱え込み等で資金繰りが大きく悪化していた。
もっとも、主軸商品である「いくらの醤油漬け」をはじめ、商品は業界内で高い評価を得ており、道内・関東圏のほか大手コンビニエンスストアにも販路を有していたことから、取引先でもあった東京の大手水産会社がスポンサー候補として支援を表明した。そこで、スポンサーに事業を承継させることを前提にしたスポンサー型の民事再生手続きを選択した。【再生スキーム】 スポンサーへの事業承継の手法としては、事業譲渡又は会社分割が考えられたが、事業譲渡では資産移転に伴う各種税金の負担が高額となること等に鑑み、会社分割を選択した。
事業継続に必要な資産については、会社分割手続により、新設会社に承継させ、新設会社の全株式をスポンサーに対し譲渡し、譲渡代金をもって再生債権の弁済に充てるスキームを策定した。
開始決定後の仕入れ及び資金繰りは、スポンサーの全面支援のもとに実施した。
不動産及び工場内機械類に設定された担保権については、担保評価額を一括弁済することを内容とする別除権協定を締結した。【再生計画】 再生債権について99.303%のカットを受け、残額を一括弁済するとの再生計画案を提出した。弁済原資は、スポンサーへの新設会社の株式譲渡代金である。 【結果】 再生計画認可決定
下矢洋貴弁護士のコラム「企業再生・倒産事件の相談雑感」はこちら
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