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取扱業務
医療関係について
はじめに
当事務所は、北海道内や札幌の医療機関が直面する以下の課題について、課題克服のお手伝いをさせていただいております。
【1】医療費抑制化のなかで、いかにして健全な経営を行っていくか。
【2】世論、マスコミが患者の味方になっている中で、いかにして診療についての安全管理、
危機管理をしていくか。
【3】近時社会問題化しているモンスター患者(身勝手な患者)に、いかにして対応していくか。
第1、健全経営について(上記【1】)
- 未収金の回収について
日本全体及び札幌の不況が長期化する中で、患者自己負担部分についての多額の未収金を抱えている医療機関が多いようです。また医療機関の中には金儲主義という噂が流れることや患者とのトラブル発生を過大に恐れて、事務職が未収金の回収を遠慮する風潮にあります。しかし、健全な経営のためには、未収金を回収することは避けられませんので、当事務所にご相談いただくことをお勧めします。なお、診療報酬債権は3年で消滅時効にかかることにご注意下さい。また、良く誤解されていますが、請求書を出し続けているだけでは消滅時効は中断しませんので、こちらもご注意下さい。 - 労使関係について
最近、札幌の病院でも、突然弁護士名による未払い残業代請求の内容証明郵便が届くことが多くなりました。
また、解雇を巡るトラブルも増加しており、解雇された従業員が労働組合に加入し、労働組合から病院が団体交渉を求められたり、従業員が北海道労働委員会に対して解雇撤回や未払い残業代の支払いを求めるための「あっせん」を申請するなど、10年ほど前にはおよそ医療機関では考えられなかった労使の関係となっています。
医療機関の場合には医療機関の規模、種類によって、残業の必要性や労務管理の内容に大きく差異がありますが、少なくとも「基本給に残業代が含まれている。」などという乱暴な主張は現在では認められませんから、早急に就業規則の記載方法を工夫するなど(上長からの業務命令がなければ残業を認めないなど)の対策をとる必要があると考えます。 - 病院の再生、M&Aなど
毎回のように診療報酬が大幅に改訂される等の事情によって、医療業界を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、最近では、北海道内や札幌でも破産、民事再生など病院の法的倒産手続きも珍しくなくなりました。しかし、法的倒産手続きを使わずに、私的整理、事業譲渡により円滑に病院を再生させることも可能なのです。
第2、医療安全について(上記【2】)
- 平成19年4月、第5次医療法改正が施行され、これまで施行規則で規定されていた医療安全に係る事項が、法律の条文で明記されることになりました。合わせて、病院、有床診療所に義務づけられていた「医療安全管理指針」の整備等の対策が無床診療所にも義務づけられることになりました。さらに、指針に盛り込むべき事項も追加されております。現在、医療安全は、日本全体で取り組むべき重要課題であることを、政府も認識するに至ったのです。
医療法 第6条の10
【病院等の管理者の責務】
病院、診療所又は助産所の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院、診療所又は助産所における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。 - 医療安全の基本は、医療事故そのものを防止することです。
医療事故とは、
・医療における正常でない出来事である。
・医療の過程において患者に発生した望ましくない現象
・医療提供者の過失の有無は問わず、不可抗力と思われる事象も含む
と定義づけられております。
*医療法改正による医療事故調査制度の開始により医療事故の定義は変更されています。
医療事故調査制度について
医療事故調査制度と異状死届出義務について - 医療の限界と医療機関側弁護士の役割
医療事故を無くしたい、医療安全を徹底したいという思いは、患者も医師も同じです。
しかし医療には、
―限界がある
―不確実である
―教科書通りにはいかない
ことがあるというのも事実であり、後から検討すると、何らかの別の方法があり、結果が異なっていたかもしれませんが、後からの検討をもとに、実際に行われたことを非難されるのではたまらないというのが、医師側の思いです。
小西貞行弁護士が自由と正義2006年8月号で、以下のように述べておられます。当事務所も全く同感です。→当事務所が最近担当した事件
「近時、医療側に厳しい判断が相次いでいるが、中には医療現場の実態とかけ離れた判断がされてしまっている場合もある。医療行為は不可避的に不確実性を伴うものであり、また医療資源には限界があり、その中にあっても大半の医療現場は関係者の献身的な努力によって支えられているが、そのことが適切に裁判所に理解されないことで、特に産科・小児科・救急医療などでは萎縮的な医療が蔓延しつつあり、結果として社会全体の利益を損ねている。裁判所から適切な判断を得て医療関係者が安心して医療行為を行うことができ、その利益が社会に還元される環境を作り出すことに寄与することも、医療側代理人としての重要な役割であると考える(自由と正義2006年8月号 小西貞行弁護士の論文から抜粋)。」 - 当事務所の紛争解決の基本方針
不幸にして医療事故が発生し、紛争に進展した場合、当事務所では、医療事故の被害者である患者側の立場や心情にも十分配慮させていただきながら、出来る限り訴訟前の早期円満解決を目指して、紛争解決に努力しております。
最近の医事紛争の傾向と対策
第3、モンスター患者(身勝手な患者)対策(上記【3】)
- 1999年1月に起きた横浜市立大学病院の患者取り違え手術による医療事故発生以来、つぎつぎに起った大病院の医療事故が報道され、医療界(医師、看護師、薬剤師、技術者その他の医療従事者を含む)に対する信頼が揺らぎ、権威が失墜しています。
さらに長引く不況のために社会全体が殺伐とし、些細なことで暴言を吐いたり、暴力を振るうという、誠に嘆かわしい風潮となっております。
しかし、医療者は病気、病気に伴う諸々の苦しみを扱うのが仕事。トラブル処理は本業ではないことを知っておきましょう。
病院対象の暴力・暴言への医療者の誠実な対応とは「暴力・暴言に耐えること」ではありません。暴力・暴言は社会の最低限のルールにすら違反しているものなのです。
他の業界の事例について考えてみましょう。たとえば、飲食店で、長時間待たされた、または注文した料理が美味しくないという理由で、店員に暴言や暴力を振るえば直ちに警察沙汰となるでしょうし、以後は店に出入り禁止となると思います。医療機関だけが、暴言や暴力に耐えなければならない理由などありません。 - これまでは医療機関の義務ばかりが強調され続けてきました。応召義務(医師法19条)、医療水準を満たした診療を行う義務、説明義務、守秘義務などです。それに対する患者の義務といえば、治療費支払義務、診療に際して前提となる事実を正確に医師に伝える義務程度しか論じられて来ませんでした。
医師法19条
診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、
正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
↓
医師の職務の公共性
↓
国民の健康な生活の確保 - この医師法19条のために、医療機関は、たとえ問題患者であっても診療を拒否することができないという呪縛にかかり、診療を拒否できないのならご機嫌を損ねてはならないとして戦々恐々状態に陥り、問題患者はさらに増長するという負のスパイラル状態に陥っていたわけです。
しかし、患者には、診療契約に伴う、信義則上の受診協力義務があるのであり、医師法19条といえども絶対的なものではありません。
「患者の権利」と「医師の義務」ばかりを強調するのではなく、「患者の義務」と「医師の権利」も主張すべきなのです。 - もちろん医療機関は、以下のように患者側の立場に立った配慮、努力をすることが必要であると考えます。
• 入院・退院の説明もわかりやすくまとめて表示(小冊子にするなど)
• 合併症・副作用についての説明を合理化する努力
• 検査・診察の流れを、わかりやすくまとめて表示(小冊子にするなど)
• 待ち時間の掲示
- ただ、医療機関がいかに努力しても、限界がある医療資源の中で100%患者を満足させることは困難です。
有職者の一部には、「病院の対応が不十分だから医療不信を招いている。まずは誠実な医療を行うのが先だ」などという論調で、あたかも医療者は当面は暴力・暴言に耐えるべきだとでも言わんばかりの発言をする人もいます。まるで、「家庭内暴力を阻止するより先に妻が誠実に対応すべき」「民事介入暴力を阻止するより先にまず借金を返すべき」とでも言うかのようです。
かような医療の不誠実さを前提とした論調自体に問題がありますが、この点はさておいて、暴力・暴言と誠実な医療を関連づけること自体が不当なことは明らかであり、断固として医療機関側の権利を主張すべきです。 - 当事務所で推奨しているモンスター患者に対する具体的な解決方法(世の中に解決できない事件は存在しません。このように、モンスター患者対策を講じることによって、他の患者様への良質な医療サービスの提供が確保できるのです。)
(1)毅然とした対応(院内の意思統一)
(2)院内規則の表示(病院の意思を表示する)
(3)建物管理者名で建物、敷地内への立入禁止命令書の送付
(4)立入禁止、面談交渉禁止仮処分命令申立
(5)警察との連携で刑事事件にする(建造物侵入罪等)
(6)インターネット上での病院の名誉や信用を毀損する書き込みに対して、プロバイダ責任法等を利用して削除を求める
■ 札医通信に掲載されたものから(羅針盤等)
■ 第7次医療法改正について
■ 最近の事件から 安楽死と尊厳死の違いについて
福田友洋弁護士のコラム(医療訴訟について)はこちら